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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

人なき一室で、とっくりとそれを読んでゆくうちに、かれの眉宇に、ある決意がうごいた。それがもたらした評定所の議決に共鳴した様子であった。

問題は――かれが心ひそかに待っていた蜂須賀家の剔抉であった。阿波へは、ひそかに弦之丞をやってある。将軍家の意思もほぼある程度までうごかしてある。しかし、要路の者たちの議がまとまらないので、かれは、所司代として京都へのぞみながら、まだ充分に、反幕府の癌と睨む公卿たちへ手をのばしかねていた。

ところが、今かれの手へ届いた書状によってみると江戸表にも一つの事件が起こった。長沢町の柳荘堂山県大弐、三千人の門下を擁して、ひそかに、京の堂上方、阿波の蜂須賀、宇治の竹内式部などと気脈を通じて、ある大事を着々とすすめているというのだ。

密訴の者があって、それを知った幕府の老中たちが、今さらのように狼狽している様が、左京之介に見えるようだった。

「迂遠なものだ……」と彼は苦笑して、たびたび、それについて予言したことが、証拠だてられてくるのを愉快に思った。

「しかし、弦之丞はどうしたであろうか。彼さえ、首尾よく戻ってくれば、もう、反逆人どもの機先を制して、徳島城をはじめ天下の野心家どもを、一網に取りくじいでいい時分だが」