Japanische Klassiker mit Furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme
老人の死躰はもっと遠くまで流されたのだろう、まだどこからもみつかった知らせはないけれども、六がその老人を救おうとしたという話は、寄場ぜんたいに大きな驚きと賞讃を呼びおこした。――あれだけの烈風と怒濤では、よほど水練に長じた者でも、溺れる人間を救うことは不可能だろう。おそらく水練を知らないからこそ六はとび込んだのであろうが、女衒などという卑しいことをして、多くの女たちの血を啜ったような男が、どんな気持でそんなまねをしたのか、栄二には理解がつかなかった。
「本当になんでもなかったんですか」とおすえは云い続けていた、「あんなに壊れたり流されたりした建物があるのに、栄さんにけがはなかったんですか」
「え、ああおれか」栄二は海を眺めたままで、ぼんやりと答えた、「おれはごらんのとおりさ、がっかりしたかい」
「栄さん」とおすえが云った。
「人間てやつはおかしなもんだ」栄二は独り言のように呟いた、「まったくおかしなもんだ、わけがわからねえ」
「それはどういうこと」
「おめえには関係のねえ話さ」と云って、栄二は感情のない眼つきでおすえを見た、「もう帰ったほうがいいぜ、おらあ片づけ仕事のさいちゅうなんだ、いそがしいんだから」