Japanische Klassiker mit Furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme
十五の四
「押しつけがましいが、ごめんなさいよ」と客は訛のある言葉で云って、栄二の前へ腰を掛けた、「おらはさぬき屋伊平っていうもんです、よろしく頼みますよ」
十五の四
紙にのせた小判五枚をぼんやりみつめながら、栄二は湯呑の水を啜った。
「さぬき屋伊平、本当の話かな」
「相州の江ノ島」とおのぶが云った、「近くはなくってよ」
「百里さきだって驚きゃあしないが、話があんまり急のことなんで、まだ本当のことのように思えないんだ」
「栄さんには急な話でも、さぬき屋さんはもう五日も捜してたのよ」
そういう話だった。さぬき屋は相州江ノ島にある料理屋で、客座敷が十二。その襖をぜんぶ張り替えるため、江戸まで職人を捜しに来た。特に三つの座敷は絵襖なので、表具のできる職人でなければならない。他の座敷も額張りから地紙まで、かなり贅沢な注文がついていた。腕いっぱいにやれる本式の仕事らしいので、久方ぶりに栄二は昂奮し、注文に対して自分の意見をこまかく述べた。伊平も栄二の主張することが気にいったようすで、いちど下見に来てくれと云い、手付けとして五両という金を置いていったのだ。――伊平は表具屋と経師屋を七、八軒もまわったという、芳古堂にもいったそうだが、賃銀の点でみな纏らなかった。