Japanische Klassiker mit Furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme
四の一
そして彼は両手を突き、頭を垂れた。
四の一
おまえさんうぶだねえ、という女の声が耳の中でする。なまあたたかく吸いつくような肌ざわりが、自分の胸や太腿のそこにもここにもありありと残っている。それはまるでなめくじの這ったあとが、粘液の条になってしみついたようで、いくら拭いてもこすっても、決して消えることがないように感じられた。栄二は顔をしかめながら、二度も三度も唾を吐いた。
男なら男らしくしなさいよ、どうしたのおまえさん、病気なのかえ。そうだ、病気だから側へ寄るな。ふん、乙に気取ってるよ、この人、なにさ、まさか大名の若さまでもあるまいし、こんなとこへ来て気取ったっておけらも笑やあしないよ。おれは気取ってなんかいやあしねえ、うるせえぞ。
あんたいい男だわねえ、あたしおか惚れしちゃったわ、ねえ、こっち向いてえ。よせったら、おらあねむりてえんだ。あらいやだ、ここは宿屋じゃないのよ、ねえ、そんなに薄情にしないでさあ、いいでしょ、あたしてどりなのよ。うるせえな、おらあぬすっとだぞ、放してくれ。火のようにという、本当に火のように熱い唇が、耳を吸い頬を吸い、――ああ、と栄二は呻き声をあげ、激しく首を左右に振った。