Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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それでもわたしはいく

それでも私は行く

織田 作之助

Lesen Sie それでも私は行く (それでもわたしはいく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.708 Zeichen · 181 Bildschirme

Aozora Bunko

京極

一

二人の視線は淡い悔恨の想いにお互い燃え合った。

「さよなら」

もう一度言って、弓子は早足に坂を降りて行った……。

京極

一

小郷が桔梗家の二階で、眼をさましたのはもうひるに近かった。

「さて、これからどうしようか」

と、考えたが、何をしていいか判らなかった。

考えるといらいらして来た。

妻を姦通罪で訴えることも考えてたが、自分の社会的地位を考えるとそれもならなかった。

撲って、追い出すという事も考えた。半殺しの眼に会わせてもいいくらい、腹が立っているのだ。

しかし、撲り、蹴り倒すといっても、今となってみれば妻の体に指一本ふれることも、けがらわしいもののように思えてならない。

それに、追い出して、新しく若い細君を貰うには、さすがに永年つれそうて来た真紀子には未練があった。

嫉妬の情はこの未練に拍車を掛けた。

子供の手前もある。来年高等学校へはいるという幹男のような、大きな子供がありながら、今更家庭生活をみだしてしまうことは、夫としてよりむしろ父親としてしのびなかった。

「どうすればいいだろう」

小郷の苦悩はきわまった。

君勇を自分のものにしてしまったことだけでは、この苦悩は癒やされなかった。