Japanische Klassiker mit Furigana
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それでもわたしはいく
それでも私は行く
織田 作之助
Lesen Sie それでも私は行く (それでもわたしはいく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.708 Zeichen · 181 Bildschirme
六
と、弓子も赧くなって、
「――だって、あなたは好奇心を起さすような人なんだもの……」
仕方がないわと、ますます赧くなった。こんな風に言うのは、娘の身として、はしたないかしら……。
「じゃその理由を言います!」
と、鶴雄は坐り直すと、また、野暮な声を出した。
「――僕はあのサイコロがなかったら、東へ行っていいか、西へ行っていいか、判らないんだ。サイコロにきいてみなくちゃ、何にも行動できないんだ」
「ふーん」
と、弓子は投げ出したズボンの膝をかかえながら、
「――おもしろいわね。だけど、理由ってただそれだけ……?」
じっと、鶴雄の眼をみつめた。
鶴雄は急にまた赧くなった。
「そ、それだけだよ」
「嘘おっしゃい!」
六
「えっ?」
と、狼狽した鶴雄の顔へ、たたきつけるように、弓子は、
「あのサイコロ、誰かいい人に貰ったんでしょう?」
「そんなことないよ」
と、鶴雄の声はしかしふと弱かった。
「だって、サイコロなんて、どこにでも売ってるでしょう?」
弓子はいたずらっぽい眼附きをした。
「そりゃ売ってるさ、しかし、買うたって、金がない」
「あたしが掏っちゃったから……?」
「うん」
うなずいたが、それがわれながら神妙だったので、鶴雄は笑い出した。