Japanische Klassiker mit Furigana
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それでもわたしはいく
それでも私は行く
織田 作之助
Lesen Sie それでも私は行く (それでもわたしはいく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.708 Zeichen · 181 Bildschirme
六
山吹教授は鶴雄を指した。
鶴雄は赧くなった。
「梶君は先斗町に住んでるんだから、詳しいんだ」
そして鶴雄の方を向いて、
「――梶君、小田君はこんど京都の新聞に『それでも私は行く』という妙な題で、小説を書くので、京都へ来てるんだが、どうやらそれに先斗町が出て来るらしいんだ。君教えてあげ給え」
「はあ、でも……」
鶴雄は曖昧に云って困っていると、小田は急に、
「君、お茶のみに行こう」
鶴雄を誘って、ビルの二階の喫茶室へ降りて行った。
鶴雄は、随いて行った。
喫茶室へはいると、小田は暫らく寺町の闇市を見下していたが、やがて、いきなり、
「君のことを書いてもいい……?」
と、奥眼の、放心したようだが、どこかきっと鋭い眼でじっと鶴雄を見つめた。
「…………」
鶴雄は赧くなって、だまっていた。すると小田は、
「君、恋人あるの」
「いいえ」
ますます赧くなった。
「遊んだことは……」
「いいえ」
まるで訊問されているようで、鶴雄は不愉快だった。
六
「どうして、そんなことをお聞きになるんです」
鶴雄はむっとして云った。
「――そんなことどうだっていいじゃありませんか」
「いやどうだっていいっていう訳にはいかないよ」