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Japanische Klassiker mit Furigana

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それでもわたしはいく

それでも私は行く

織田 作之助

Lesen Sie それでも私は行く (それでもわたしはいく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.708 Zeichen · 181 Bildschirme

Aozora Bunko

八

と、鶴雄はうなったが、ふと想い出したように言った。

「――しかし、小郷虎吉は今いないよ」

今日はたれもいないと、さっき宮子がある意味を持たせて言ったのを、鶴雄は覚えていたのだ。

「だからこうして待ってるのよ。帰るまで待ってやるわ。あたし小郷の真青な顔を見たくてたまらないの」

弓子はそれが癖らしい早口で言った。癖といえば、ものを言う時、白い歯の間から覗かせた舌の先を動かす癖があった。それが、ふと可憐に見えた。

「小郷が真青になるって、一体そりゃどういう意味……?」

鶴雄がきくと、弓子は、

「じゃ、あなたにだけ言うわ。あなたにも少し関係のある話だから……」

「へえ?」

鶴雄は思わず坐り直した。

「実はあなたが小野屋旅館のあたしの部屋を出て行ってから……」

と、弓子が語りだしたのは、こうだった。

――鶴雄と入れ違いに、望月三郎が弓子の部屋へはいって来た。

望月は弓子が掏摸をしているという話を、たまたま隣の部屋できいたことを奇禍として脅迫的に弓子を誘惑しようとした。

しかし、弓子は姉の千枝子のように弱い女ではなかった。

ピシャリと望月の頬を撲った。

が、その手はいきなり望月に掴まれてしまった。