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Japanische Klassiker mit Furigana

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それでもわたしはいく

それでも私は行く

織田 作之助

Lesen Sie それでも私は行く (それでもわたしはいく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.708 Zeichen · 181 Bildschirme

Aozora Bunko

唇をとがらせて器用に煙の輪を飛ばしていると、すっと襖があいた。

女中のお雪がしずかに入って来たのだ。

幹男はちらとお雪の方を見ると、急に眉をひそめた。

お雪は幹男の足元に坐って、じっとうなだれていた。

「…………」

「…………」

暫らく沈黙が続いた。

やがて、幹男はその鉛のような沈黙の雰囲気にたまりかねたように、

「あっちイ行け!」

いらいらした声で言った。

「…………」

しかし、お雪はじっと坐ったまま、動かなかった。

幹男はわざと眼を閉じて、お雪の顔を見まいとしていた。

煙草の灰が落ちようとした。

お雪はしずかに起ち上ると、幹男の枕元へ灰皿を持って行った。

幹男はその灰皿に煙草を捨てると、急にむっくり起ち上って、出て行こうとした。

「坊ちゃま」

お雪は幹男の上衣の端を掴んだ。

「なんや」

幹男はお雪の顔を見た。眼がうるんでいた。

「――泣いてるのンか」

幹男はふといじらしくなって、お雪の肩に手を掛けた。

肩はふるえていた。

幹男はいきなりお雪を抱きしめようとした。

「あッ」

お雪は抱かれながら、しかし顔をそむけて、

「――いや、いや……」

そして、わっと泣き伏した。