Japanische Klassiker mit Furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme
北側の、日のささぬ其処の紅葉は見るからに寒々として、濡れてもいるかと思わるる色深いものであった。然し、途中でややこの思い立ちの後悔せらるるほど路は遠かった。一つの渓流に沿うて峡間を降り、やがてまた大きな谷について凹凸烈しい山路を登って行った。十戸二十戸の村を二つ過ぎた。引沼村というのには小学校があり、山蔭のもう日も暮れた地面を踏み鳴らしながら一人の年寄った先生が二十人ほどの生徒に体操を教えていた。
先生の一途なるさまもなみだなれ家十ばかりなる村の学校に
ひたひたと土踏み鳴らし真裸足に先生は教ふその体操を
先生の頭の禿もたふとけれ此処に死なむと教ふるならめ
遥か真下に白々とした谷の瀬々を見下しながらなお急いでいると、漸くそれらしい二三軒の家を谷の向岸に見出だした。こごしい岩山の根に貼り着けられた様に小さな家が並んでいるのである。
崖を降り橋を渡り一軒の湯宿に入って先ず湯を訊くと、庭さきを流れている渓流の川下の方を指ざしながら、川向うの山の蔭に在るという。不思議に思いながら借下駄を提げて一二丁ほど行って見ると、其処には今まで我等の見下して来た谷とはまた異った一つの谷が、折り畳んだ様な岩山の裂け目から流れ出して来ているのであった。