Japanische Klassiker mit Furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme
岡の上の落葉松林の陰には友人Y―君の画室があった。彼は折々東京から此処へ来て製作にかかるのである。今日は門も窓も締められて、庭には一面に落葉松の落葉が散り敷き、それに真紅な楓の紅葉が混っていた。林を過ぐると真上に浅間山の大きな姿が仰がれた。山にはいま朝日の射して来る処で、豊かな赤茶けた山肌全体がくっきりと冷たい空に浮き出ている。煙は極めて僅かに頂上の円みに凝っていた。初めてこの火山を仰ぐM―君の喜びはまた一層であった。
朝飯の膳に持ち出された酒もかなり永く続いていつか昼近くなってしまった。その酒の間に私はいつか今度の旅行計画を心のうちですっかり変更してしまっていた。初め岩村田の歌会に出て直ぐ汽車で高崎まで引返し、其処で東京から一緒に来た両人に別れて私だけ沼田の方へ入り込む。それから片品川に沿うて下野の方へ越えて行く、とそういうのであったが、斯うして久しぶりの友だちと逢って一緒にのんびりした気持に浸っていて見ると、なんだかそれだけでは済まされなくなって来た。もう少しゆっくりと其処等の山や谷間を歩き廻りたくなった。其処で早速頭の中に地図をひろげて、それからそれへと条をつけて行くうちに、いつか明瞭に順序がたって来た。