Japanische Klassiker mit Furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme
小さな旅籠屋に入り込んで、カフェーにありついた。どうも非常に寒い、きたないテーブルには、土方らしい先客がいて、キナ臭い煙草をチューチュー吸いながら、じろじろ私を見ていたが、相手ほしそうに話しかけた、聞いて見ると村の男なんだ、成程今日は日曜だった。こうした話相手も、山国の旅らしくてうれしい。
村をはずれると、平らな雪路は殆んど直立とも思われる崖の中復に、棚のようにかかっていて、右は樅や雑木のしがみついた絶壁の麓に、深くたたえた湖の色は、雪空のせいか、何とも云えず物すごい。路は、いくつも氷柱のぶら下ったトンネルをぬけて、南へながながとつづいてゆく、程なく一、二軒、家の並んだ所に出た、ここがテルス・プラッテ Tellsplatte である。
私はまだ、ロッシニの序曲に表われるような、此の山の湖の夜明けは知らない。空は薄くもり日の物悲しく、バウエンの峰は雲の下ながら、冬なればクーライエンのメロディーも響かず、フェーンの前の静けさは知るよしもなかった。山はウィルヘルム・テルの背景である。私はたまらなくなって、崖路を千鳥がけに下りて、テルス・カペルレ Tellskapelle の前に立った。