Japanische Klassiker mit Furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme
う。日本なんかに引っこまないで、一緒に来ればいいのにと思うにつけても、なつかしいより腹が立った。扨て表に出ると、雨は上ったが雲はまだどんよりと、街の上に垂れかかって、日の永い頂上だが、もう暮れかけたようにうす暗い。
ベーレンブラッツから街をつっきって、キルヘンフェルトの橋に出る。雲は暗いが、いかにも高原らしい。ユンクフラウを真ん中にして、ブリュームリスアルプからドルデンホルンまで、オーベルラントの名のある山で、一万尺を超えたのが、三十三も見えると云うが、今日はベルプの裾が、雨雲から滲じみ出ているだけで、雪らしいものはまるで見えない。
アーレの急流は、深い崖の底に渦を巻いて、氷河の水に特有な、それを思うだけでも胸の躍る白味がちな蒼色が、S字に街を横ぎってゆく。崖の上は、ブンデスパラストが青葉の上に屹えて、クライネ・シャンツェの木立の間に、鐘塔の頂は、雨雲に触れそうになっている。雲はじっと動かない。
流れにそうて、崖の上を、アーレ・シュトラーセからミュンスターの下を通って、川なりに、ぐるっと大まわりに廻って、大通りに出ると、刻の鐘が六時を報じて、飾りたてた両側の店に灯が入る。