Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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スウィスにっき

スウィス日記

辻村 伊助

Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme

Aozora Bunko

物貰いか、それにしては、選りに選って、日本人なんか目っけなくてもよさそうなものだと、少々変な心持で、何だって聞くと、今度は名刺を出した、見ると、ベルクフューラー・クリスチャン・ヘッスラー Christian Haesler としてある。ははあ加賀の連れてったヘッスラーだ。

近藤君を呼んで、朝飯を、庭先のテイブルで食べながら、様子を聞く、奴は懐中から、ガイドの手帳を取り出して見せる。年が年だけに、随分大勢案内したと見えて、中には、とても読めないような名筆も交って、盛んに塗りつぶしてある、あったあった、千九百十年八月二十五日、日本山岳会員、加賀正太郎、文句が中々振ってる。案内は実に老実なりとしてある。扨て、いずこのガイドにも有り勝ちのこと、賃金の事はよく始めに定め置くべしと、賞めるんだか、けなすんだか、体裁のいい悪る口が墨黒々と記してある。賃金のことは、始めに約束すれば、その上は欲しいと云ったって、鐚一文くれてやる考えもないから、その方の心配はいらないが、こう記されてあると、彼の人格に立ち入って、穿鑿もちとして見たくなる。山登りの人夫に、人格も大袈裟な話しだが、本で見たり、話に聞いたりするスウィス・ガイドの行為は、時として、同伴する登山家自身より、遥かに立派であり、また、尊敬すべきものが少なくない。