Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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スウィスにっき

スウィス日記

辻村 伊助

Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme

Aozora Bunko

が、登りとちがって、岩の角からうつ向きになって、一足クーロアールへ足形を切ると、何がさて眼が眩むような楯一面、真っ白に辷り落ちる雪の壁に、這いずった先登はヘッスラーで、奴の鼻が私の踵につかえるばかり、すぐ上の近藤君は、肩のところでアルペンシュトックを突っ張ってると云う物騒なありさま、後殿のフォイツなんかは、どうしているのやら、仰ぬいて見るほどの余裕などは更に無い。左の手には、杖の柄と一緒に、数珠つなぎになったロープのたるみをやけに握って、一足、一足と段を作って、靴のつま先を雪の中に突っ込んでは、そろりそろり這い下りる、で、その雪が、また意地わるく、解けるように柔かい。

何しろ、背ろむきになって這い下りるんだから、足もとは悪し、雪の急斜で手掛かりはなし、重くはなかった筈のリュックサックまで、いやに意地悪く背を曳いて、気のせいか、もんどり打ちそうで気味がわるくてならない。一足、一足、爪先が痛くなるほど、雪の中へ靴を突っこんで、そろりそろり這い下りてゆく。クーロアールは西向きで、午後の太陽をまともに受けた雪の反射で、ぴったりくっ付けた顔や手先は、爛れるばかりにびりびり痛む。