Japanische Klassiker mit Furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme
此間も横浜まで見送りに来たとき、今度は那須君と一緒で本当にいいねと皮肉を云われて苦笑したが、こうして見ると矢張り何となく寂しい。
高野にしても武田にしても、眼を閉じれば俤は彷彿とするが、今は距たること実に五十日の旅程にある、頼りはしてもおいそれと返事は来ないから、まるでツンボと話してるようにいらいらする。私は那須の側にいながら、いつか
恨むらくは雪の嶺こそ眉にあれわが側に君まさぬこと
と大井川の奥から呉れた中村の消息を思い出した。
このあきたらぬ感じを突きつめれば、私達がこの雪をめぐらしたスウィスに生れなかった不運をかこつ外はない。自分の生れた国を置いて怪しからん奴だと、まさか友達にはあるまいが、世間には思う者があるかも知れない、あったってこの事実をどうすることも出来ない。
グロース・シュレックホルンの雪崩で負傷した時グリンデルワルトで世話になった三十四聯隊(Gebirgs-Artilleri)の兵士達を思い出した。私の国だったらどうだろう。或人は親切に慰めて呉れるかも知れない、ある人は、いやどうも飛んだ御災難でと恰も災難ででもあったかの如くまともに慰問の言葉を浴びせるかも知れない。