Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
Lesen Sie 世界怪奇実話 (せかいかいきじつわ「じょぶん」) von 牧 逸馬 (まきいつま) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 251.305 Zeichen · 498 Bildschirme
泊って来ることはなかった。相当手広くやっている錻力工場の所有主で、いまは実際の商売からは隠退しているという近所の評判である。
誰ともあまり親しく往来しないでいる。キスという男は、何処か不気味なところのある人物で、噂によると、いつも細君を相手に心霊学上の議論などを闘わしていたそうだ。天文学にも趣味があるらしく、書斎にはその方面の書物が充満していた。その影響でか、細君の Norma Kiss 夫人も万事神秘好みの女だった。ジプシイの占い婆さんか何かがよく硝子の玉に見入って、そこに人の運命を読み取ると称する。これを水晶判断と謂って、西洋の一部信者のあいだにはあらたかなものとされているが、ノルマも、拳大の硝子玉を大事にしていて、それを凝視めては、始終独り占いをしていた。夫婦仲も好く、常に自家用のがたがた自動車で一緒に出掛けていた。良人のベラ・キスがひとりでブダペストへ出る時も、その自動車を自分で運転して行った。
この匈牙利の錻力屋の親方、Bela Kiss こそは、いまだに欧羅巴第一の怪奇な存在と見られている。ちょっと過去に類がなく、しかも比較的最近の出来事であるが、その割りに知られていない。