Japanische Klassiker mit Furigana
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せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
Lesen Sie 世界怪奇実話 (せかいかいきじつわ「じょぶん」) von 牧 逸馬 (まきいつま) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 251.305 Zeichen · 498 Bildschirme
鉛筆の包囲、カメラの襲撃、その時出た新聞の特別版の見出しの一つに「赤十字美人看護婦の復讐成る」などと、でかでかとやって自分とこで掴まえたように大見得を切っているのがある。何んな騒ぎだったか、そして又、協力的に、実は競争的に手を着けて、いま完全に警察に鼻を明かされた憲兵隊や軍部が、如何に口惜しがったか、想像が付こう。
色の黒い、大柄なノウスカット。身長五呎七吋。体重百七十封度。綺麗に剃った、鋭い顔。写真で見ると、亜米利加人によくある容貌だ。大分着古した黒のトウィイドに黒いソフトを深く被って、眼が、酔漢のように赤い。多くの世間的経験と少しの良心を覗かせている血走った眼である。賭博者、智能犯、競馬狂などに見るどんよりと冷たい眼なのだ。何処かに羅典か、亜米利加土人の血がうっすらと混っていることを想わせる感じ。
この、写真を撮ろうとして写真班の一隊が殺到すると、ノウスカットは、鳥渡英雄的に手を上げて制しながら、
「待ち給え。今頭髪を撫でつける」と、内隠しからポケット櫛を取り出して悠々と髪を分け直して、「後に残るものだからな、出来る丈け好い男に撮って呉れ」
かちりと、カメラが鳴った。