Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme

Aozora Bunko

襖をあけたとき、その六帖に屏風を立て、夜具の敷いてあるのが見えた。その夜具の派手な色と、立ててある屏風を見るなり、蝶太夫はかっとのぼせたようになり、いきなり立ちあがって、坐ろうとするおりうを抱いた。

「あら危ない」おりうはよろめきながら、蝶太夫に縋りついた、「どうなさるの、お師匠さん」

「ちょっと」彼の舌は硬ばってもつれた、「ちょっと休もう、頼む、おりうさん、これ以上じらすのは罪だよ」

「待って」おりうはふるえた、「待ってちょうだい」

おりうはさっと蒼くなり、全身で嫌悪の情をあらわしながら、しかしその手はふるえながら蝶太夫を捉まえていた。

「お父つぁん」とおりうはわななきながら呟いた、「あたしに力を貸して」

蝶太夫には聞えなかったらしい。聞えたにしても意味はわからなかったであろう、彼はおりうを抱いて、よろめくように次の間へはいり、うしろ手で襖を閉めた。

それから約半刻のち、――階下の座敷で、おりうは着替えをした。女中に手伝ってもらって、ざっと髪も束ね直した。そのあいだにいちど、急に吐きけにおそわれ、厠へ走っていって嘔吐した。あまり急なことで、女中はあっけにとられたが、おりうは「少しわる酔いをしたらしいわ」