Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
とおときが云った、「もう二度とおめにはかかりませんって、そう申上げてくれと仰しゃってましたわ」
「ぎゃふんだな」と彼は云った、「ざまあねえ、いい面の皮だ」
「あんなにお若くておきれいでいて、ずいぶんしっかりしていらっしゃるのね」とおときは彼に盃を差しながら云った、「昨日ここへ初めておみえになったときも、十五、六の小間使らしい女の子を伴れていらしったけれど、御自分ではっきり仰しゃるんですよ、二階の静かな座敷がいい、お酒のあとで休むからその支度もするようにって、――こんなおばあちゃんのあたしたちでさえ云いにくいことを、はっきりと仰しゃるんですもの、みんなあとで顔を見合わせちまいましたわ」
「ぎゃふんだ」と彼は盃の酒を呷った、「舞う手もなしだ、――このうちは馴染なのか」
「いいえ、いまも云うとおり昨日が初めてですよ」
「大きいのにしよう」彼は汁椀の蓋を取った、「今日は酔ってくれるぞ」
「誰かお呼びしましょうか」
「おときといったな」彼は盃をおときに与えた、「おまえが気にいった、よければおまえに相手をしてもらおう」
「あのお嬢さんに叱られますよ」
「あれは魔性のものだ」
得石は自分で思うより酔っていた。