Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme

Aozora Bunko

と得石は云った、「それから、手拭を冷やして来てもらおうか」

「まあ、――」女中は初めて気づいたように、彼の顔を見て眼をみはった、「まあひどい、どうなさいました」

「駕籠がぶっつかったんだ、まぬけな駕籠舁きで、向うから二枚でとばして来た駕籠とまともに」彼は右手の拳で左の掌をぴしっと叩いた、「こうぶっつかりゃあがった」

「まあ危ないこと、駕籠にもうっかり乗れませんねえ」と云って女中は立った、「では、ただいますぐに持ってまいります」

女中はまず金盥の水へ手拭を添えて持って来、次に酒肴をはこんで来た。このあいだに、得石は家の中を見たが、部屋数は二た間、そこが六帖で、隣りは四帖半。六帖の窓をあけると川が見えるが、四帖半のほうは雨戸を閉め、屏風をまわした中に夜具が敷いてあった。枕許には絹張りの丸行燈と莨盆や水差まで揃っていた。――水で絞った手拭で眼を冷やしながら、得石は女中を相手に機嫌よく飲んだ。ならず者たちに対する怒りも、かれらを誰が操ったかということも、さっぱりと頭から消えてしまい、いまはただおみのが来ることと、来てからあとの期待とで、じっとしていることができないというようすだった。