Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
おそのは娘の手をやさしく撫で、あやすような口ぶりで云った、「おちついて、おちついて、そんな大げさなこと云わないでよ、あんたっておっ母さんには薄情なくせに、あの人のこととなるとすぐにのぼせあがるのね、たまにはあたしのことを考えてくれてもいいじゃないの」
「ええ、そうね」おしのはぎこちない動作で頷いた。云いたいことを抑えつけるような、硬い頷きかたで、それから云った、「おっ母さんのお世話をしなくってほんとに悪いと思うわ、お父つぁんさえおちついたら、こんどこそどんなにでもおっ母さんのお気にいるようにしてよ、だからあたしのお願いもきいてちょうだい」
「いいわ、あんたには負けた」おそのは娘の手を軽く叩き、それを放しながら云った、「あしたかあさって、そうね、あさっての夕方ごろゆくことにしましょ」
「嬉しい、ほんとね」
「断わっておくけれど、あんたの考えているとおりになるかどうかは、あたしにも保証できないことよ」
「ほんとに来て下さるわね」
「ゆくって云ったらゆくわよ」とおそのが云った、「お午になにを喰べる、いっそ鳥鍋でも取ろうか」
おしのは母といっしょに午飯を喰べた。
その座敷に炬燵を入れ、久しぶりに差向いで、話しながら喰べたのであるが、奥の部屋に誰かいるように感じられ、それが気になっておちつかなかった。