Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
九
「これはまた」と米八が云った、「よもや勘当なんてえことじゃあないでしょうな」
「よけいな頭痛を病むな、――とにかく、一昨日の晩おれは、本郷のその家へいっしょにいったんだ」
そのとき女中が、結び文を持って、いそぎ足にはいって来、「いまお使いの人がこれを」と云いながら、清一に渡した。
「おっ」と彼は浮き腰になった、「来たな、お召し状だぞ」
彼はふるえる指で文を解いた。
九
手紙を読み終ると、清一は顔の筋をほぐし、手紙を袂に入れて立ちあがった。
「いよいよ大願成就だ」と彼は云った、「二千両の持参金付きを嫁に貰えば、大手を振って蔵前の家へ帰れる、おれもそろそろ身を固めてもいいころだからな」
「御祝言にはひとつわっと賑やかに」と米八が熱のない口ぶりで云った、「――へっ、若旦那てえ方はよっぽどいい星の下にお生れなすったんですな」
「私はこれで帰るよ」と清一は云った、「みんなには座敷を付けておくから、残ってゆっくりやってってくれ、私のこころ祝いにね」
「お供を呼びましょう」と菊弥が云った、「本郷へいらっしゃるんでしょ」
「本郷なんてやぼなところじゃあないさ、が、これはまだないしょないしょ」