Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme

Aozora Bunko

六

「もうよして、よしてちょうだい」

「ええよします、よしますけれど一つだけうかがわせて下さい」

「いいえよして、それは云えないの」

「どうしてもですか」おまさの眼からもっと涙があふれ落ちた、「あたしがそんなに信用できないんですか」

「違うのよ、そうじゃないの」おしのは脱力したような眼でおまさを見た、「信用していなければ今日までいてもらやあしなかった、あんたなら大丈夫だと思ったから、どんなところへもいっしょに来てもらったのよ、でも、――このわけは云えないのよ」

「どうしてですか」

六

おしのは息をしずめ、暫く黙っていてから、眼を伏せたまま云った。

「あんたを罪にするからよ」

「――どういうことですか」とおまさはまた問い返した。

「あんたの云うとおり、あたしはこうしなければならないからしているのよ、そのためには初めから自分の命を賭けているの」とおしのはひそめた声でゆっくりと云った、「――でもね、世間からみれば、あたしのしていることはたいへんな罪で、人でなし、毒婦、鬼、なんと云われるかもしれないの」

おまさの唇がひらき、小さな、白い、並びのいい歯が見えた。

「あたしはもうすぐ自首して出るつもりよ」