Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme

Aozora Bunko

「そのままではおけなかったって」

おしのは頷いた、「あたしおつるさんの話を聞いたわ」

「そんな、ばかなことを」

「ばかなことなもんですか、あたしにはいい薬でしたよ」とおしのは云った、「あの人の話を聞いて、あたし初めて自分のゆく末のことを考えました、おつるさんもあなたに妻子のあることを知っていて、そうなった、だから自分が仕合せになるだろう、などと考えるのは間違っています、男は口ではどんな約束もするでしょう、けれどもその約束は信じてはいけない、妻子のある男がほかの女にゆく末のことを約束して、もしもその約束を守ったとしたら、もとの妻や子たちを不仕合せにするでしょう、ひとを不仕合せにして自分が仕合せになろう、などと考えるのは、間違っているばかりではなく人でなしと云ってもいいと思います」

「ちょっと、ちょっと待ってくれ」と源次郎は徳利を出しながら云った、「寺子屋で孝経の話でもするような、そんなやぼなことを云うのはよそうじゃないか、それとも、――今夜はその手ではぐらかそうというつもりか」

「いいえ」おしのはかぶりを振った、「今夜は逃げも隠れもしません、今夜は覚悟をして来たんです」