Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme

Aozora Bunko

三

「そんな大げさなことを」と云って彼は盃を取っておしのにさした、「とにかく一ついくとしよう」

おしのは注がれた盃を膳の上に置き、源次郎に酌をしてやった。

「あたしおつるさんに、国許へ帰るように云いました」いちど置いた盃を持って、それをみつめながらおしのは続けた、「少ないけれど持たせる物を持たせてあげましたから、もうあなたに心配をかけるようなことはないでしょう、今日あたりは常陸のどこやらとかいう、故郷へ帰っているかもしれません」

「持たせる物って、金でもやったんですか」

「あなたは関係のないこと」と云って、おしのは盃の酒をきれいに飲みほした。

三

「おつるさんのことはもう心配はないわ」とおしのは続けた、「あの人は二人の子をかかえて、これから苦労することでしょう、苦労があんまりひどければ、二人の子を伴れて親子心中をするかもしれない、でも決して、あなたに迷惑はかけないと思うわ」

「もうその話はよそうじゃないか」

「憚りさま、お酌」おしのは、盃を出し、源次郎が酌をした、「今夜はいただくのよ」とおしのは云った、「この話はあなたに痛いのね、おつるさんのほかにも、何人となくたのしんだ相手がいるんでしょ、たのしむだけたのしんで、飽きれは猫の仔を捨てるように、さようなら――とも云わずに捨ててしまったんでしょ」