Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
五
「それよりも、殺された四人のことが気にならないかしら」
「どういうわけで」
「四人ともおそのさんとわけがあったということは話したでしょ、殺し方も同じ、枕許に山椿の花片、――」とおしのは暗示するように云った、「山椿は父親という人の好きな花だったんです、なんのたのしみも道楽もなかったその人の、たった一つだけ好きな花だったんです、だからその花片は、父親へ供養のしるしとして置かれたものなんです」
「と云うと、四人を殺したのは」と云いかけて、彼は強く頭を左右に振った、「いやばかな、まさかそんな」
「そうなんです、四人ともおしのが殺したんです」
おしのはそう云うと、長襦袢の左の袂をさぐり、銀の平打の釵と、平たくたたんだ紙包みを出し、包みをひらいて、その中に赤い椿の花片が一枚あるのを見せた。
源次郎はうしろざまに反って、両手で上躰を支えた。顔は壁土色に硬ばり、大きくみひらいた眼は、いまにもとびだすかと思われた。
おしのはもういちど、長襦袢の衿を左右へひらき、あらわな胸を彼に見せた。
「さあどうぞ」とおしのは云った、「どうぞ触って下さい、あたしがおしの、あなたの娘です、抱いて寝て下さるんでしょう」