Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
「大八」では二度、次は堀留の「蔦屋」だろう。いや、「蔦屋」はその次で、三度めは「伊賀梅」だった。
「五月までにななたび、逢う場所も二度以上は続かない」と彼は呟いた、「二度いったのは大八だけで、あとの五たびはみんな違ううちだった」
顔を知られたくないんだな、と彼は思った。
酒肴をふるまわれ、いい機嫌に酔わされて、島村東蔵に仕込まれたかと思うような、年増も及ばないいろけとてくだでひき廻され、しかもお預けをくいっ放しで、また迎えに来られれば尻尾を振って参上する。これでも岸沢蝶太夫か、え、おい、これでも岸沢蝶太夫かよ、と彼は心の中で自分を嘲笑した。
「おい師匠、どこへゆくんだ」とうしろで声がした、「うちへけえるんじゃあねえのか」
彼は立停って振り返り、よろよろした。
「誰だ」と彼は眼をそばめた。
めくら縞の長半纒に三尺、唐桟縞の半纒をひっかけて、素足に麻裏をはき、手拭で頬冠りをした男が、妻楊枝で歯をせせりながらこっちを見ていた。
「うちへけえるんだろう」と男はまた云った、「おめえ路地を通り越しちゃってるぜ」
「おめえ誰だ、松公か」
「まあいいや、うちへいこう」
「おかしなやつだな」