Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme

Aozora Bunko

そうだ、三十二といえばそのくらいの年だ、おりうならちょうどいい、親から金も出るだろうし、半年ばかり芝居のほうを休んで、みっちり腕にみがきをかけてやろう、と彼は心の中で思った。

「だが、六助のやつ」暫くして、彼はふと声をあげた、「いやそうじゃあない」彼は自分に首を振った、「――仲次郎のことなんか構わない、たとえ腕を折った裏話をしたって、折った本人は六の野郎で、おれが頼んだなんていう証拠はない、もし仲次郎が仕返しをするとしたら、当の相手は六助にきまっている、そのことはいいんだ」そして彼は眼をつむり、口の中で不審に呟いた、「それよりも気になるのは、佐吉が誰かに飼われているということだ、――佐吉は正月に桝屋をよした、おれはそうかと思っただけで気にもとめなかったが、誰かに飼われているというのはへんな話だ、誰に、どんな理由で飼われているのかは、口を割らなかったというが、……芝居茶屋の人間で、女客と役者や芸人を取り持っていた、そんな見当になにか曰くがありそうだと云ったな」

蝶太夫はじっと眼を据えて、暗い天床の一点を見まもった。

――おめえなんぞも気をつけたほうがいいぜ。