Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶっきょうじんせいとくほん
仏教人生読本
岡本 かの子
Lesen Sie 仏教人生読本 (ぶっきょうじんせいとくほん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.886 Zeichen · 246 Bildschirme
老大家は、ひとたび「空」の世界に行き当って、その自由さ、豊饒さに酔ってしまったのでありました。そして此地を以て美の理想の究極だと思い取ったのであります。なんぞ図らん、それは美の畑だけであり、田だけであります。如何に田畑は肥えているにしろ、種子も蒔かぬ、根も卸さぬ田畑は、実際の収穫には縁遠いものであります。それはちょうど、農夫がただ肥えふとった田畑を見て、独りで楽しんでいる気持ちであります。
老大家は、農夫の肥田を見付けたときと同程度の心の段階で楽しんでいるのでした。そして、それを以て、もう黄金浪打つ秋の実りにさえも思い取るのでした。「空」の世界は自由であります。女の美しさを思い浮ばせようとすれば、まざまざそれが、そこに浮び上り、肉体のみずみずしさを見ようとすれば、直ちにそうも見えるのであります。しかし「空」の世界を体験しない、また創造の播種の種子を持たない他人には、全く何もないとよりしか受取れないのであります。独り合点に終るのであります。よく「無弦の琴」とか、「無声の韻」とかいう言葉がありますが、これはその心境を解したもの同志の間で言うことであって、これを生のまま人に理解を押し付けるといわゆる「野狐禅」