Japanische Klassiker mit Furigana
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なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
Lesen Sie 何が私をこうさせたか (なにがわたしをこうさせたか) von 金子 ふみ子 (かねこふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.571 Zeichen · 383 Bildschirme
「たしかに五升ありますね、大丈夫ですね」
米はたしかに五升以上はある。袋に入れるとき私はたっぷりと五升量って、なおその上少し足し米をさえして置いたのだ。だが、今はそんなことはどうでもいいんだ。早く取り引きをすまして、いくらでもいいからお金に替えたいのだ。私は答えた。
「ええ、充分あります……でも、何だったら、お金はいくらでもいいんです」
やっとのことでおかみさんはそれを引き取ってくれた。代価を払われると私は、その金を引ッ掴んだまま計えもせずに店を出た。そしてまた人込みの中に自分の身をかくした。
だが、何という浅間しさであろう。これほどおびえた私であるのに、その後もやはり、自分の高買いの埋め合わせをつけて、祖母の機嫌を取るために、幾度か私はこれを繰り返した。次第に図々しくなって行く自分の心に恐れを懐きながら……。
「あの時もしあれが発覚したら……」と私は今でも時々そのことを思い出してはぞっとする。けれど不思議に私は、そうした時の結果の恐ろしさを考えるだけで、私自身たいしてわるいことをしたとは思わない。私は、私がああいうことをしたのは、それをするようにさせられただけで、私自身にさほどの責任が課せられるべきでないと今でも思っているのだ。