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Japanische Klassiker mit Furigana

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かわいいやま

可愛い山

石川 欣一

Lesen Sie 可愛い山 (かわいいやま) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.791 Zeichen · 196 Bildschirme

Aozora Bunko

すべての準備は整った。盛な焚火がパチパチと音を立て始めた。林蔵は、まっ黒な薬鑵に、どこからか、水をいっぱい満たして持って来た。太い白樺の枝を、斜めに地面につきさす。針金で薬鑵を火の上にぶら下げる。米をとぐ。玉葱の皮をむいて味噌汁を作る……

その間、我々は、濡れた足袋を乾いた足袋にかえ、グシャグシャになった草鞋を新しい藁草履にかえ、天幕から二、三間はなれた草地に腰を下して、四周を眺めていた。鹿島槍は信濃と越中との境界をなす山脈中の一つである。東は北安曇の平原を見下し、西は黒部の渓谷をへだてて立山の山彙と相対する。山の景色としては申分ない。

鹿島槍それ自身の主峯は、我々の右手に聳えている。まっ黒な岩の尾根、危くかかる雪、絶壁、これが信州側である。なだらかな土砂の傾斜面、草地、偃松――ここには高山植物が多い――越中側は、このように穏やかである。

やがて飯が出来た。味噌汁、干鱈、それ以外には何の御馳走もなかったが、三人は野獣のようによく喰った。岩つばめが低く飛ぶ、黒部の瀬の音が時々聞える、いつの間にか日が暮れた。

食器類を洗って了うと、我々は焚火をかこんで、山の話にふけった。