Japanische Klassiker mit Furigana
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lesen Sie 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) von 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.647 Zeichen · 215 Bildschirme
平安朝から室町時代へかけて寺運隆盛を極めたらしいが、徳川の正保二年、大風のため堂宇悉く倒壊し、およそ百年後の元文二年再建補修されたものが現在の伽藍であるという。この再建補修も決して堅牢なものでなく、伽藍の配置だけを往時に復して、他はすべて小ぢんまりと安普請したことはいまの法輪寺をみれば明らかであろう。伽藍というよりは仮の廬と云った方がふさわしいくらいだ。三重塔のみがわずかに飛鳥の面影をとどめる。
中宮寺から北へ三丁、前述の風光を眺めながら行くと、松の大樹の間にささやかな山門と三重塔がみえる。法隆寺の堂々たる威容と、その至れり尽せりの修理保存ぶりをみた眼には、この寺はあまりに痛々しい。金堂も講堂も天井は破れ、壁は剥落し、扉は傾いたまま風雨にさらされている。昼間でも鼠が走りまわっている。法隆寺のすぐ近くにあるだけ、その対照がきわだって一層貧しくみえるのである。朽ち果てて惜しむべき建物ではないかもしれぬが、しかしこの置き忘れられたような蕭条たる風情のゆえに、大和古寺のなかでも異彩を放っていると私は思うのだ。いかにも古寺らしい古寺である。つまり在るがままなのだ。