Japanische Klassiker mit Furigana
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lesen Sie 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) von 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.647 Zeichen · 215 Bildschirme
粘土のギプス繃帯を全身にはめているようにみえる。また講堂の本尊たる十一面観音立像は、おそらく一丈余もあろうが、大和古寺の諸仏のうちでもこれほど大きな眼をもっている菩薩像を私は知らない。どうしてあんなに大きい眼玉なのであろう。その他多くの諸仏が安置されているけれど、いずれも塵にまみれ、気のせいかがっかりしているようにみうけられる。長い歳月における負傷そのままに、荒廃の堂宇に風雨を凌いでいるのである。
ところで飛鳥仏の裡でも最も風格をそなえた美しい虚空蔵菩薩立像は、いまはこの寺にはない。奈良帝室博物館に出張して留守中なのである。このみ仏を往時のごとく荒れ果てた金堂に安置してみたいというのが私の願いなのだ。何処より伝来したみ仏かむろんわからない。印度仏ともいう。或は聖観音ともいわれる。すべての飛鳥仏のごとく下ぶくれのゆったりした風貌、茫漠とした表情のまま左手に壺をさげて悠然直立している。不動のみ姿ではあるが、いまにも浮々と遊び出るような春風駘蕩たる風格も偲ばれる。そういう懐しさがあって、たとえば法隆寺金堂天蓋に奏楽する天人達の面影に近い。しかし不動である。