Japanische Klassiker mit Furigana
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lesen Sie 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) von 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.647 Zeichen · 215 Bildschirme
またこの円柱は光りばかりでなく、千二百年のあいだ、金堂に詣でた人々の息吹や体臭や衣の香りまでも吸い込んでいるにちがいない。感触が柔く、どこかに暖かさがこもっている。その深部にはいまなお血液が脈うっているようにさえみえる。私は円柱について専門的な知識をもちあわせないが、古寺の柱をみると、何となく人臭い感じがするのである。生ま生ましいのだ。これはどんな理由に基くのであろうか。
元来、柱というものは人がもたれかかるものである。もたれかかるために柱を建てるわけではないが、自然にそうなるのは我々の日常経験するところであろう。私はこの素朴な日常経験を基として唐招提寺の円柱に対するのである。
金堂におまいりして、仏前に祈りを捧げた後、おそらく多くの人は何げなくこの円柱にもたれかかって、ほっとしたのではなかろうか。或は遥々この寺を訪れた旅人が、仏前へまいる前に、しばし身を寄せかけてあたりの風光をめでたのではなかろうか。乃至はこの蔭に身をひそめて恋人を待つ平城の男女があったかもしれぬ。念願は心の緊張の裡に行われる。仏前に在っては我々は畏敬のため慎しみふかくしていなければならない。