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Japanische Klassiker mit Furigana

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やまとこじふうぶつし

大和古寺風物誌

亀井 勝一郎

Lesen Sie 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) von 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.647 Zeichen · 215 Bildschirme

Aozora Bunko

いかに深い慈心といえどもこれだけは躊躇されたであろう。しかしこの一歩において誓いを破ることは信仰がゆるさなかった。遂に皇后はやむをえず、その美しい唇を癩者の肌にふれ、膿を吸いつつ全身に及んだという。すると癩者の身体は急に麗しく光りを発し、仏の姿と化して立ち去ったというのである。

むろんこれも伝説であるが、しかしさきの場合と同じく、ここにも皇后に対する当時の民草の思いはひそんでいるであろう。全く根拠のないところには伝説はない。浴を賜わったことへの感謝の思い出でもあろうか。或は皇后の御手を、自らの身体にうけた病者達の激しい感動と謝念が、こうした伝説を生じたとも考えられようか。文答師の場合は美の伝説であり、これは信の伝説である。皇后が、天平の美と信仰を代表さるる花華として仰がれていた証拠でもあろうか。かように奇しく美しい伝説のまつわっておらるる方は、わが国史でも皇后以外にはない。なお法華寺十一面観音や浴室を通じて皇后を偲んだ歌が、会津八一博士の「鹿鳴集」にある。

ふぢはらのおほききさきをうつしみにあひみるごとくあかきくちびる

ししむらはほねもあらはにとろろぎてながるるうみをすひにけらしも