Japanische Klassiker mit Furigana
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lesen Sie 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) von 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.647 Zeichen · 215 Bildschirme
大地から燃えあがった永遠の焔のようであった。人間像というよりも人間塔――いのちの火の生動している塔であった。胸にも胴体にも四肢にも写実的なふくらみというものはない。筋肉もむろんない。しかしそれらのすべてを通った彼岸の、イデアリスティクな体躯、人間の最も美しい夢と云っていいか。殊に胴体から胸・顔面にかけて剥脱した白色が、光背の尖端に残った朱のくすんだ色と融けあっている状態は無比であった。全体としてやはり焔とよぶのが一番ふさわしいようだ。
これを仰いでいると、遠く飛鳥の世に、はじめて仏道にふれ信仰を求めようとした人々の清らかな直ぐな憧憬を感じる。思索的で観念的であるが、それが未だ内攻せず、ほのぼのと夢みているさまがおおらかである。他の推古仏と同じように、その顔も稍々下ぶくれで、古樸端麗、少しばかり陽気で、天蓋の天人にもみらるる一種の童話的面影を宿している。顔面の剥脱して表情を失っているのも茫乎として神々しい。同時に無邪気であり、生のみちあふれた悦びと夢想の純潔を示す。静に佇立しているようだが、体躯は絶えず上へ上へとのびあがり、今にも歌い出さんばかりである。