Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
「そうかい――」
お滝は枕許へ寄って来て、お松の額に手を当て、
「おお、なかなか熱がありますね、大切にしなくては……それからねお松」
お滝は言いにくそうに、
「お前、なにかね、お鳥目を少しお持ちかね」
「はい」
「お持ちならばね、ほんとに申しにくいけれどね、商売の資本に差支えたものだからね、少しばかりでよいから融通してもらえまいかね」
「エエようござんすとも」
お松は快く承知して、
「済みませんけれども伯母さん、その手文庫を……その中に包みがありますから封を切って、お入用だけお使い下さいませ、たくさんはございませんけれど」
「そうかい、わたしが手をつけていいかい、済まないねえ、それでは調べてみますよ」
お松が神尾の邸を逃げるとき持って出た自分の手文庫、お滝はその蓋を取って、
「まあ、大へん綺麗なものがあるね、これは短刀かえ、錦の袋なんぞに入ってさ。これがお金の包み、まあ驚いた小判だね。それではお前、このうちを二両だけ借りておきますよ。ほんとに済まないね、お礼を申しますよ。それから何でもお前、不自由があったら遠慮なくそうお言い、我儘を言い合うようでないと親身の情がうつらないからね」