Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

「おお、よいよい、鼠は行ってしまった」

お浜は抱きすかして乳房を含めようとすると、その乳房の背に一痕の血。

「あなた、お起きあそばせ、大変でございます」

お浜は片手には泣き叫ぶ郁太郎を抱えて、片手を伸べて無二無三に竜之助を突き起します。

「何事だ」

眼をさました竜之助。郁太郎の泣き声にも驚かされたが、自分の身体の手の触るるところが、水で漬けたような汗であるのにも驚きました。

「よく見て下さいまし、坊やが鼠に噛まれました」

「ナニ、鼠に?」

「はい、大きな鼠があの仏壇から出て、この中に潜りこんで坊やに食いつきました」

「どれどれ」

竜之助は起き上って、燈心を掻き立てて、郁太郎の身体を調べて見ると咽喉に一文字の創。別に深い創ではないが、そこから血がにじんで、蚯蚓ぐらいの太さにダラダラと落ちて行くのです。

「咽喉を噛まれました」

お浜は狂気のように叫びます。

「大事はない、早く血を拭いて創をよく巻いてやれ」

竜之助はあり合せた晒木綿の断切れを取ってやる。

「針箱の抽斗に膏薬がありますから早く……早くして下さい」

「焦くなよ」

「まあ焦れったい、その右の小さい方の小抽斗」

「これか」