Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
「声を立てるな」
「許してください」
「おお、お前は――お松ではないか、お松坊」
「まあ、お前はおじさん」
待ち焦るる人はここに来た、けれどもあんまり突飛です。夜の丑の刻に屋根伝いにここへ来るとは、お松の眼には、これも夢以上。
「よい所で会った。お松、お前に会おうと思って忍んで来たのだ」
「おじさん、今頃、どうしてこんなところへ」
「事情を話せば長くなる、なにしろ、わしが身は急に忙しくなった」
「忙しいとは?」
「わしは人に追っかけられてる、怖い人がわしをつけ覘っている、それでお前のところへも来られなかった、お前をつれて帰ることもできない、しばらくこのまま辛抱してくれ」
「おじさん、それでは、わたしを置いてどこぞへ」
「そうだ、これから直ぐに旅に出にゃならねえ。お前をつれると、お前のために悪いから、当分このままで辛抱してくれ」
「まあ、どうしたものでしょう、おじさん何か悪いことをなすったの」
「いや、あとでわかる、こうしている間も危ないのだ。そんならお松、ずいぶん身体を大事にしてな」
「わたしはどうしたらよいでしょう」
「ナニ、心配するな。親方にも太夫さんにもよろしく……だが、わしが来たとは決して誰にも言うではないぞ、お役人のようなのが来ても黙っていなさい。