Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
「そう」
と言って少女は得心したが、
「おじさん、それでは今日お江戸へつれて行って下さるの」
たずねてみたが、直ぐに返事がないので、せがんでは悪かろうと思うたのか、そのままにして仏壇の方にふいと目がつくと、
「お線香をモ一本上げましょう」
たったいま上げた線香が長く煙を引いているのに、また新しい線香に火をつけて、口の中で念仏を唱え、
「お爺さん、わたしが大きくなったらば、きっと仇を討ちますからね」
独言を言っている間に眼が曇ってくる。寝床の中で一ぷくつけていた主人はそれを見とがめて、
「お松坊、ちょっとここへおいで」
女の子は横を向いて、そっと眼の縁を払い、
「はい」
主人の前に跪まると、
「おまえは口癖に敵々というが、それはいけないよ、敵討ということは侍の子のすることで、お前なんぞは念仏をしてお爺さんの後生を願っておればよいのだ」
「でもおじさん、あんまり口惜しいもの」
また横を向いて、溢るる涙を払います。
「口惜しい口惜しいがお爺さんの後生の障りになるといけない。あ、それはそうと、お前を今日はお江戸へつれて行くはずであったが、私は少し怪我をしてな」
「エッ、怪我を!」