Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

「ずっと以前、もはや二十年も昔のこと、拙者のこの道場に暫く足を留めておられたことがある」

「それは、不思議の因縁にござりまする」

「拙者が、今までに拝見致した剣術では、江戸で男谷下総守、筑後柳川の大石進、それからただいま申す島田虎之助殿、この三人が至極とお見受け申した。もっとも近ごろは、江戸に有名な達人が多くおられるそうな。拙者もかれこれ十何年あちらへ参りませぬ故、これは十何年も前の話で、今は何とも申されぬが、まず島田殿ほどの名人は、十年や二十年に幾人と現われるものでなかろう、よき師匠をとり得てお仕合せに存じまする」

師匠のよい評判を聞くことは、兵馬にとって自分のことを聞くように嬉しい。どこへ行っても島田虎之助の剣術を賞める言葉を聞くけれども、今日この人の口から聞くと、よけいありがたく思われる。ちょうど、最初に机弾正から島田虎之助の名を紹介された時と同じような確信をもって話しているように思われる。人の技倆を、それだけに見るほど、この人の修養もそれだけに深いものと思えば、奥床しい思いがする。よい人に会ったと兵馬は謹んでその言うところを聞いていると、

「島田殿は珍らしい人じゃ、こちらから話しかければ、いくらでも聞く、聞いたばかりで自分は何も語らぬ」