Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

「宇津木は、わしの実家じゃ」

「お前様の実家……それではお前様は、文之丞様の弟さんかえ」

「弟の兵馬という者です」

「ああそうでございましたかい、そうとはちっとも知らなかった」

この少年こそ、宇津木文之丞の実の弟の兵馬であったのです。

兵馬は幼少の頃から番町の旗本の片柳という叔父の家に預けられていたのが、このたびの変を聞くと無分別に叔父の家を脱け出して兄の家へ帰ろうとして、ここまで飛んで来て、疲れ切ったところを、悪者に脅されたものでありました。

宇津木兵馬と聞いて馬子が驚きの意味ありげなのを見て、

「馬子どの、お前もあちらの人か」

「エエわしも」

といったが与八はポキリと言葉の端を折って、一丁ほどは物を言いませんでした。兵馬も再び尋ねなかったが、やがて与八は、

「お前様のお兄様の文之丞様というお方も、運の悪いお人だ」

「兄上のことを御承知か」

「はあ、よく知ってますだ」

「そんなら机竜之助のことも」

「はあ、その竜之助様のことも」

「してみれば、五月五日の試合のことも知ってであろうがな」

「はあ、その事もあの事もみんなようく知ってますだが……」

「そうか、それは幸い。あの試合で兄上と竜之助の勝負は」