Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たぬきじる

完本 たぬき汁

佐藤 垢石

Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme

Aozora Bunko

そして、包丁を甲羅のまわりの柔らかい縁に丸く回すと、甲羅がぽっくりと取れる。内臓が、そっくりそのまま腹の甲にのって露れる。そこで第一に胆嚢と膀胱とを除き去らねばならない。もしこれを傷つけると、到底食い物にならないからだ。それから内臓や肉を腹の甲から切り離すのであるが、腸も捨てるには及ばない。すっぽんは生捕って後三、四週間も餌を与えないでおけば、腸の中は洗ったように清浄となっている。甲羅の固いところと胆嚢、膀胱のほかにすっぽんには全く捨て去るところがないのだ。

首も尾も四肢も、肉も臓も適宜の大きさに刻んで鍋に入れる。もし、裂いたすっぽんが一貫目位のものであったらこれに水四升ほどを注ぎ込んでよろしい。それから、炭火にかけてとろとろと四時間位煮る。こうして四升の水が半分以下に煮詰まった時、火から下ろすのであるが、もうその時は、すっぽんの味漿は悉く汁に出て、肉も何も綿のように柔らかくなっているのである。

つまり、これがすっぽんのスープだ。けれど、これに味付けをしてしまったのでは、汁が濃粘に過ぎて舌への刺激が強く、味覚が痺れてほんとうの風趣を判別し得なくなる。