Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
明治になってから宝物、家具の払い下げをさせるに、整理人まで置いたほどであったという。いまでは大部分売り払ってしまったから、ほんの僅か残っているばかりであるというのであるが、それでも一ヵ月や二ヵ月では調べ終わるわけのものではあるまいと思われるのだ。
数ある書き付けのうち、最も興味を惹いたのは、諸侯から入れた借金証書である。それが、箪笥二棹に、ぎっしり一杯詰まっている。これを分類したら、よほど面白いものができあがるに違いない。試みに、一掴みの証書を取りあげて開いて見たら、そのうちに肥前唐津藩小笠原佐渡守から入れた金三百両の借用証書があった。これは小笠原長生将軍の先祖である。一城の主が、僅か三百両の金を寺から借りていることを思って、徐ろに微笑を禁じ得なかったのであった。
藩侯の借金
さらに、次へ繙いて行くと、三千両が庄内藩主酒井左衛門尉。百五十両が小笠原石見守。三百両が高梁藩主板倉伊賀守。金一百両が上田城主松平伊賀守。三百両が牧野伊勢守など。次から次へ読んで行けば、殆ど際限がないありさまである。
庄内藩主酒井左衛門尉が金三千両を借用するために入れた証書の文句は、まことに厳重を極めている。