Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
『珍鳥の拝観、冥土までの語り草に存じ奉ります』
声を揃え恐縮し、腰を跼めて恐る恐る七面鳥の傍らへ近寄っていった。
一体、家定の企図としては、七面鳥の習性を知らない医師共が、何の理解もなく傍らへ近づいて行った途端、七面鳥が持ち前の癇癪と底意地の発揮に会い、鋭い嘴に襲撃されて周章狼狽の体を見たい、というのにあったのであるが、七面鳥の奴どうしたことか、医師共を見ると日頃の気前を忘れたように、馴れ馴れしく歩み寄ってくる。
『こんなはずではなかったが――』
片唾を呑んで、医師共が悲鳴をあげる瞬間を楽しみにしていた将軍は、張った肩、剥いた眼、突き出した首のやり場がない。それは、そのはずである。七面鳥は、将軍の手許へきてから以来、毎朝毎夕お茶坊主から餌を頂戴していた。ところで奥庭へ引き出されて見たところ坊主頭が五、六人揃っていたから、またいつものお茶坊主かと思案して何の恐れるところもなく、ゆるゆると歩いてきて餌をせがむのであった。
『上の心も知らぬ七面鳥奴!』
と、将軍は内心怒りを発したが、それは無理である。
けれど、医師は本草綱目や動物書くらいは通覧しているから、七面鳥の習性は知っていた。