Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
これで、用意していった竿も、餌も何の役にも立たなくなった。温井里付近の下流には、アブラ鮠に似た小さい魚ならばいるとの話であったが、アブラ鮠は釣ってみる気になれなかったのである。そして、渓のみぎわに転積している小さい玉石をころがしてその裏を見た。けれど、渓流魚の餌となる川虫の姿が一つも見られなかったのである。なるほど、これでは魚はこの川に棲めないと思った。
夕方、長箭や温井里や元山津の愛棋家が三、四十人集まって、我々の歓迎会を開いてくれた。
夜汽車に乗って京城へ帰った。途中、安辺というところが日本海の沿岸を走る線と、京津線との乗換場所である。夜半、駅のホームに立って冴えた空を眺めると、頭上高く北斗七星がきらめいていた。北極星は、東京付近で見るのよりも地平高きところにある。
京城へ帰って一日休養し、十六日は朝から碧蹄館の古戦場を訪れた。山と山との間に水田が開けて、畔にポプラの樹がそびえ、山裾に落葉松が金魚藻のような若葉をつけていた。そこが、三百四十年前の古戦場であった。小早川隆景の僅かな軍勢が、明の四、五万の大軍を殲滅した所である。いま見るこの水田が、戦争で血に溢れたそうだ。