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Japanische Klassiker mit Furigana

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たぬきじる

完本 たぬき汁

佐藤 垢石

Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme

Aozora Bunko

午前中の潮行に、舟を三流し四流し釣って、午後の潮が再び膨らみきたる間に、仲造と二人で弁当を食うことにした。

そのとき私は、ふと森山さんの妹さんのことを、仲造にきいてみる気になった。

『おい船頭さん、お前は森山さんの妹さんを知っているかい』

『知ってます。あの兼子さんが、どうかしただかね』

と、仲造は持っている弁当箱を、舟板の上へ置いた。

『どうしたという訳じゃないが、大層別嬪だという話じゃないか』

『とんでもない』

大きな手を横に振って仲造は、

『まるで反対だ。ふた目と見られねえ』

と、笑うのである。

『ふた目と見られないはひどいね。それほどでもないのだろう』

『ほんとだ。暑中休暇には帰ってくるから、見なせえ』

こんな訳であった。森山さんの風貌から察すれば、仲造の言った形容は全然言い過ぎでもないかも知れないが、写真から想像したところでは仲造の話は大袈裟すぎる。それは何れしても教育はあるし家柄はよし、人によっては却ってこの方を好むものだ、などと贔屓の考えもしてみた。

その日も、なかなかよく鯛が釣れた。

『旦那は、このごろえらく釣りが上手になったね。俺は、旦那と一緒に沖へ出るのが楽しみだ』