Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
『うまいことを言うね――お前の教え方が上手なんだろう』
『えへへ』
『おぼんには、何を送ってよこそうな』
『えへへ』
私が大きな魚籠に入れた鯛をさげて帰京する時、森山さんは駅まで送ってきて、
『では、何分お心がけおき願いとうございます』
と、言うのであった。
四
私は汽車のなかで、何かのきっかけに思い出したのは、山岡という友人であった。
山岡は、親友というほどでもないが、若い時からの知り合いで、仕事の上の取引もあるし、折りによっては酒もつき合うし、身の上話もする仲である。二、三年前に子供二人を残されて美しい妻君を失った。その後、男やもめで寂しく暮らしている。もう五十歳を一つ二つ過ぎて、子供は大きい娘が今年女学校を卒業し、弟の方は中学三年になっているのであるから、別段不自由というほどのこともないのだが、何だか物足らぬ、といったようなことをいつぞや会ったとき聞いたことがあった。ふと、私はそれを思い出したのである。
正直なことをいうと、山岡も稀に見る醜男の方なのである。上背は四尺六、七寸、肩幅が広くてずんぐりしている。丸い顔に、丸い頭を玉石のようにいが栗にして、いつも元気がいい。