Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
『ある』
『からかうな』
『からかうのじゃないよ。若いし、教育はあるし、家柄はよしさ』
『正体はなんだ』
『物持ちの娘だ』
『歳はいくつになる』
『掛値なしの三十四歳だ。僕が、独身ならばと内心思っているのだけれど――』
『いやに煽動的だね。だが、僕の方が少し歳が行き過ぎている――』
山岡はこう身を引いて出たが、何となくこの話に気心が進むように見えた。
そこで私は、房州の森山家の豪勢な話や本人の身柄のことについて詳しく物語った。山岡は、私の話をふんふんと聞いていたが、最後に、
『ひどく、ぐあいがよさそうじゃないか。一つ、小当たりに当たってみて貰おうか』
と言った。乗気になってきたらしい。
『やってみよう――だがね、縁談は水物というから――』
『頼む』
五
こう私は引き受けたけれど、その後俗事が忙しかったので、房州へ出向くことができないから手紙で往復して写真交換というところまで漕ぎつけた。もちろん、私はさきに房州から持って帰った妹の写真を、山岡に見せたところ――よろしい、可もなし不可もなし。というところだろう――という世間並みの気持ちを山岡から聞いているのだから、もうここに至っては、こちらから山岡の写真を送ってやるだけでよろしいのだ。